あなたにあった工務店選びとは?選ぶ際のポイントと注意すべき落とし穴を解説

工務店は、企画・設計から施工、アフターサービスに至るまで、家づくり全体を手掛けるプロフェッショナルです。
しかし、その機能性や耐久性、美観など家の価値を形成する過程は、工務店ごとに違いがあります。
そのため、工務店の選び方に悩む人が多いことから、本記事では工務店選びの手助けとなるポイント、注意点などを解説することにします。

工務店選びの重要性とポイント

家づくりで難しい決断を迫られるステップのひとつが工務店選びであり、大げさかもしれませんが、今後の人生をも左右する存在とも言えます。
ゆえに、家づくりのパートナーとして、その重要性やポイントの理解は欠かせません。
では、どのようなモノサシで判断すると良いのか、具体的にお伝えします。

なぜ工務店選びが重要なのか?

工務店は、建物の企画設計から施工までを一手に担うことから、家づくりの質や満足度、さらには生活の質に影響が直結します。
技術力、提案力、コストパフォーマンス、アフターサービスなどが異なるため、工務店の選び方を重要視せざるを得ないのが現状です。
高額な費用と時間をムダにしないためには、ライフスタイルや価値観を共感・共有できる工務店を選ぶことが不可欠と言えます。

家づくりにおける工務店の役割とは?

工務店の多くは社長を筆頭に、少数精鋭の職人が集まって、地域に密着した建築業者をイメージさせます。
個人事業から株式会社まで、人数も事業規模もさまざまですが、地元を知り尽くして土地勘もあるため、立地に見合った提案力も魅力です。
また、資金調達から火災保険の相談まで行える工務店もあります。
現場レベルでは施工管理が主な役割ですが、分業制の建築工事を指揮命令する重要なポジションを担います。
責任者である現場監督は、専属のコンサルタントとしての役割も果たします。

工務店選びの基本ポイントとは?

工務店選びにおいては、

・提案と創造力
・業務の質
・コミュニケーション能力
・評判(口コミ)

などを含めて総合的に評価・判断することが重要になってきます。
小規模事業者の場合は、商品説明用資料の不足、モデルハウスでの見学ということができないケースも想定されます。
さらに、人手不足でウェブサイトやSNSの稼働率も高いとは限らないため、できるだけ面談の機会を持つことがおすすめです。
面談では、工務店側の住宅建築に対する姿勢や雰囲気などを体感できるだけでなく、先に挙げた項目も知ることができます。

工務店の評価基準や口コミの見方

建築知識や業界を知らずに工務店を選ぶことは、高難易度な課題であり、これをクリアするには、

・評価基準
・口コミ

がカギとなります。
検索エンジンやポータルサイトによる情報収集は、もはや当たり前ですが、入手した情報を鵜呑みにすることなく、客観的な判断が求められます。

工務店を評価する基準は?

まず挙げられるのが、住宅建築における「技術力」です。
残念ながら、同じ工務店でも得意分野が異なれば、建物の品質や性能に差が出ます。
技術力は「信頼性」にも繋がるため、気になる工務店があれば、得意分野を含めた強みを知ることをおすすめします。
また信頼性は長期的な家づくりには必要不可欠で、技術力と合わせてハードとソフトの「対応力」も評価基準のひとつです。
問い合わせへの対応だけでなく、建築中のトラブルなどの対応も含みます。

口コミの信頼性と見方のコツは?

工務店選びにあたっては、口コミは重要な情報源です。
主に、

・Googleマップ
・建築系ポータルサイト
・紹介・比較系サイト
・自社メディアでの「お客様の声」

などが、口コミの参照元となりますが、評価は個々の経験に基づくものであり、その信頼性をどう判断するかがポイントとなります。
投稿数が少ない、極端に評価が偏っているという場合は、あえて参照しないことも賢明な判断と言えます。
ある程度の情報量があれば予算やデザインなど、知りたいことを優先して参照することがおすすめです。

インターネットで工務店を調べる方法

インターネットでは、

●地域名+工務店
●(知っているなら)社名や屋号

などを検索キーワードにして、公式サイトを確認します。
公式サイトでは会社概要、強み、施工事例、理念、経営者の横顔といった有意義な情報が得られます。
その後に、ポータルサイトやSNS、YouTubeなどをチェックして、口コミでの評価や感想、発信内容などを補足情報として参照するとよいです。
それでも情報が十分に得られない場合は、新築の体験談などを公開している個人サイトを探してみると、思いがけず詳細な情報が得られることもあります。

工務店選びでの注意点と失敗例

失敗から学ぶことはたくさんありますが、工務店選びに関しては、一度の失敗は致命的と言えます。
参考までにお伝えすると、2022年度の新築におけるトラブル件数は17,826件で、全体の49.8%にもなっています。(※)
それゆえに、注意点や失敗例を知って、工務店選びや理想の家づくりに活かすことは欠かせません。

工務店選びでよくある失敗とは?

よくある失敗としては、

・選定理由がコストだった
・口コミや紹介を鵜呑みした
・情報共有ができておらず時間をムダにした
・打合せ不足で追加工事が多発した

といったことが挙げられます。
小さなトラブルが積み重なり、失敗したなと途中で気付いたとしても、工事中はどうしようもなく、もはや引き返すことはできません。
このような状況になると、住み始めてから設備や仕様に関する不具合、それに対するアフターサービスの杜撰さも予想されます。

注意すべきポイントと対策方法

前述の失敗原因を基に対策を取るならば、

・魅力的な金額に惑わされない
・口コミや紹介の根拠を知る(調べる)
・メモや録音で打ち合わせ内容を記録する
・「○○工事一式」の詳細を求める

という姿勢が求められます。
ただし、見積もりの妥当性などは、建築知識が無ければ判断が難しいことから、建築士にセカンドオピニオンを依頼するという方法もおすすめです。
多少の費用は必要ですが、失敗のリスクは大きく低減します。

パートナーとして避けたい工務店の特徴

工務店に求めるものとして「技術力」「信頼性」「対応力」を挙げましたが、例え、それらの項目に好印象を抱いたとしても、不親切な対応が垣間見えたときは要注意です。
例えば、「○○工事一式」という表現を注意ポイントに挙げましたが、別紙に詳細も説明もない場合は、後々になって予算オーバーや揉め事の原因となります。
つまり、相手の立場を考えず、業界の常識として押し通す姿勢は、顧客対応力の面で不安が残ります。
さらに運営体制についての説明で歯切れが悪いときは、社内での横断的な情報共有が機能していない可能性も推測されるため、一旦、見合わせたほうが得策です。

家づくりにおける工務店とのコミュニケーション方法

家づくりにおいては、工務店とのコミュニケーションが欠かせません。
重要なことは、

・良い関係の構築
・契約前の確認
・イメージの共有

を心掛けると、満足度を高めることに繋がります。
期間限定とは言え、何でも言える間柄が理想的です。

工務店と良い関係を構築するためのコミュニケーション

顧客と工務店の双方が、忌憚なき意見交換ができることが、理想的な状況と言えます。
言いたい放題ということではありませんが、例えば顧客が、言わなくてもこの程度はやってくれるだろうという暗黙の期待を抱くと、必ず誤解や不満が発生します。
言わなければならないこと、迷っていることなどは、躊躇せず工務店に伝えるというスタンスが望ましいという意味です。
積極的に関わっていくことで、満足度の高い家を手に入れることができます。

工務店との契約前に確認すべきこと

家づくりは、相談の段階で契約ということはありません。
一般論ですが、

1.仮契約(キャンセル可能)
 法律上の契約ではなく、あくまでも予約のような名目。

2.本契約
 いわゆる建築工事の請負契約締結。

というステップを踏むことが多いです。
この仮契約のシステムがあるにも関わらず、説明がない場合は親切な対応とは言えず、契約後も「言葉が足りない」ことでトラブルに発展する可能性があります。
実務上で確認すべきことは、少なくとも、

・仮契約前
 敷地調査(費用負担の有無は事前確認)
 提案レベルのプランと見積もり(諸費用込みの総額)

・本契約前
 地盤調査(自己負担)
 仕様が確定したプランと見積もり(諸費用込みの総額)

トラブル、キャンセル時の対応や建築費用の支払日、支払い方法
といったところです。
工務店側から説明があれば、従うようにしてください。

理想の家のイメージを共有するために

理想を伝えることは簡単ではありませんが、

・重視したいこと
・こだわりたいこと
・大まかな予算
・外構や駐車場など

を具体的な理由も添えて、細部まで考えているならば、素直に伝えるようにします。
一次的なプランニングが提案されると、理想と一致しないこともありますが、そのギャップをひとつずつ丁寧に埋めていくことが、イメージ共有には必須です。
時間をかけて、理想を実現可能なレベルにまで引き上げるには、工務店からの意見は貴重であり、新たな発見も得られます。

さいごに

家づくりは、住まいと人生を創る一大イベントです。
工務店の選び方に迷うことは、誰しもが通る道で珍しいことではありません。
これまでにお伝えしたことを参考に、具体的な行動に移すことをおすすめします。
良い家づくりを実現してください。

まとめ、会社案内

工務店の選び方については、評価基準や口コミの見方、注意点と失敗例からの学び、コミュニケーション方法などを中心にお伝えしましたが、相性や雰囲気という感性も意外と無視できません。
住宅産業センターでは、お客様とのコミュニケーションを大切にし、建築中も適切なアドバイスを提供することで、家づくりのプロセスをスムーズに進めることを心掛けています。
同時に、お客様の要望をしっかりと捉え、それを最高の形に落とし込むことで、お客様からの高い評価を得ています。
一緒に最高の家づくりを始めましょう。

参照
※住宅相談統計年報2023資料編|(公財) 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
https://www.chord.or.jp/documents/tokei/soudan_siryou_web/2023.html